この記事はこんな方におすすめ
・交渉を有利に進めたい!
・両者にとって良い形になる交渉をしたい!
・より良い人間関係を築きたい!
読む時間:5分
今回のテーマは交渉です。交渉の技術を身に付けると、仕事が今よりもはるかにやりやすくなります。しかし交渉と聞くと抵抗を感じてしまう人も少なくないと思います。いわゆる契約(クロージング)を想像しますよね。
だから多くの方々は、
・こちらの意図を通すことができない。
・納得がいかない形で終わってしまう。
・交渉自体が怖い。
という悩みを抱えています。心当たりはありませんか?しかし振り返ってみてください。
後輩に仕事を頼む。
物品を購入するために稟議を上げる。
新しい仕組みを導入するために、現場に理解してもらう。
業務の遂行について他部署に協力を仰ぐ。
日々の業務は交渉の連続です。だからこそ交渉に関するスキルを身に付け、あなたらしい良い仕事をどんどん通していきましょう!
元大阪市長・元大阪府知事で、その前は弁護士として交渉を重ねて来られた橋下徹氏は、交渉を成立させる方法には以下の3つがあると言っています。
・利益を与える
・脅す(合法的に)
・お願いをする
できることなら利益を与えることだけで終わらせることが良いとも言っています。当然と言えば当然ですが、そうともいっていられない場面を多く経験されているのでしょうね…
では利益を与える大切さが分かったうえで、具体的にどうすれば良いでしょうか。そこで交渉に関する2つの研究をご紹介します。まずはオランダのアムステル大学で行われた研究です。
この研究では、交渉でどちらか片方が損をするwin-loseの状態を打破し、win-winになる方法を探りました。先ほども書いたように、多くの方が交渉はどちらかが損をすると思っています。このようにパイが固定されていて奪い合うという認識を、Fixed Pie biasとかFixed Pie perceptionとか呼びます。さて研究に戻ります。
結論から言うと、交渉のプロセスを明確にするとwin-winを作れるということです。お互いの言い分や、目指すこと、譲れないもの、どこまでなら大丈夫か、などを紙に書くといった方法で明確にします。私も交渉する際は、お互いの言い分や譲れない線を何度も確認します。このように明確にした場合は、明確にしなかった場合と比較して2倍ほどの得をしています。
つまりwin-winは可能であり、その方法があるということに大変勇気づけられます。パイを大きくすること(unfixed)はできる!
次に、イスラエル最大の大学であるテルアビブ大学で行われた研究です。この研究では、交渉における最初の提案がどのくらい影響するのかについて調べました。その結果、売り手(依頼する側)から先に投げかける方が、値段が高くなることがわかりました。
値段が高くなることは奪っているように思われるかもしれませんが、要するにオファーが通りやすくなるということです。またそのオファーも高い金額を提示した方が、最終的な値段は高くなるということです。
このように最初の印象に引っ張られる効果を、アンカリングバイアスと呼びます。“1000円の商品”よりも、“いつもは2000円だけど半額で1000円の商品”の方が安く感じてしまうというやつです。最初に無茶な依頼をして、こちらが妥協する。こちらが妥協した分は相手の利益と感じられます。橋下氏はこれを仮想の利益と呼んでいます。
いずれにしても、こちらから交渉を投げかけることは、悪い結果を生む可能性が低いということです。パイを大きくでき、お互いにとって良い結果が作れる。自分から交渉を投げかけても、悪い結果を生む可能性は低い。最初に大きな提案をすれば、本当に欲しい結果が手に入る確率が高まる。
結局のところ、奪い合うわけではありません。良い結果を作っていくためであれば、率先して交渉に臨んで大丈夫ということです!
まとめ:
・交渉には、利益を与える、脅す(合法的に)、お願いをするという3つの方法がある。
・交渉のプロセスを明確にすると、win-winを作れる。
・こちらから先に交渉を投げかけた方が有利に働く。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
橋下徹:交渉力 結果が変わる伝え方・考え方
Carsten K et al: Unfixing the Field Pie: A Motivated Information-Processing Approach to Integrative Negotiation.
Maaravi Y et al: Negotiation as a Form of Persuasion: Arguments in First Offers.
リサーチ協力のWhite.Crowさんのブログもオススメです:
https://academictheories.com/
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