この記事はこんな方におすすめ
・スタッフと良好な信頼関係を築きたい!
・相手の想いを大切にしたい!
・関係を大切にする雰囲気を作りたい!
読む時間:5分
今回のテーマはユマニチュードです。ユマニチュードはフランスで生まれた認知症ケアです。現在の日本は高齢化率27%を超える世界一の高齢社会です。そして2025年には認知症の患者数が700万人になることが予測されています。日本は急激に高齢化が進んだため、高齢者をケアする仕組みがまだまだツギハギ。この点ヨーロッパは、計画的に高齢化をコントロールしてきましたので、高齢者へのケアが充実しています。
そこで生まれたケアがユマニチュード。一時期日本でも話題になりましたね。ご存知の方もおられるかもしれません。ではこのユマニチュードから私たちは何を学べるのでしょうか。
それは、人間関係を作るヒントです。
・スタッフと信頼関係が築けない
・どうやってスタッフに接していいかわからない
・世代の違いを埋めることができない
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
組織は人です。マニュアルや社内制度といった仕組みも必要ですが、生産性の高い仕事をするためには、やはり社員同士の信頼関係が不可欠となります。生産性の高い仕事=仕組み×信頼関係です。ですから信頼関係がなければ、良い仕事は生まれません。そのためのヒントをユマニチュードから学びましょう!
まずユマニチュードはケアの中心をどこに置いているのか。ケアをする人とされる人のどちらなのか。多くの場合は、ケアをされる人(健康に問題がある人)ではないでしょうか。これを社員間に応用すれば、上司ではなく部下に注目する。でもユマニチュードは違います。
ユマニチュードが注目するのは、「関係性」です。つまりその人と自分との人間的な関わりです。だから何をするのかの前に、自分と相手との間にどのような人間的な関係を築くのかに焦点を当てています。
だからこそ、ユマニチュードは、あなたを大事に思っているということを相手が理解できる形で伝える技術と言えます。
相手が理解できる形で伝える技術。胸に刺さりますね。ではその方法について具体的に見ていきましょう!
ユマニチュードでは、「見る」・「話す」・「触れる」・「立つ」を大切にしています。「触れる」はセクハラになるかもしれませんし、「立つ」は問題ありませんので、ここでは「見る」と「話す」について解説します。
まず「見る」。見るポイントは水平な視線です。
寝たきりになると、ベッドで寝ている人は、ベッドのそばに立っている人を見上げます。これは垂直的な視線です。天井しか見えませんので、当然ながら視野が狭い。
上司や先輩は社内では上、部下や若いスタッフは下と言う位置付けが一般的です。だからと言って垂直的な視線を向けてはいませんか?相手も人間であり、成長することができる貴重な存在です。もしかすると将来は自分よりも価値のある仕事ができるようになっているかもしれません。だからこそ、敬意を払う存在なのですね。
水平な視線を向けましょう。と、書きながら私自身にも言い聞かせております…。
次に「話す」。
赤ちゃんに強い口調を使う人はいません。愛情を表現する話し方をします。全く同じである必要はありませんが、そのような気持ちで話すことが大切です。相手を大切に思っている時にはどんな言葉になるのか。当然ながら、ポジティブな言葉ですね!また反応が乏しい人に対しては、話しかけなくなります。そんな時に有効なのは、お願いです。
お願いは、相手がいなければ成立しません。相手との共同作業になります。つまり、“あなたが必要です”と伝えていることになります。そして相手が引き受けてくれたら、必ずありがとうといったポジティブな言葉を使う。もちろん言葉はコミュニケーションの7%程度しかありませんので、表情や声の大きさも、言葉の内容に合わせてくださいね。
ユマニチュードは、あなたを大事に思っているということを相手が理解できる形で伝える技術です。とても考えさせられますね。相手が認知症の方だからこそ、どうすればこちらの思いを伝え、良好な関係を築くことができるのか。ものすごく勉強になります。
私は理学療法士としては、10,000人を超える患者さんの治療経験をしました。患者さんは非常に弱い立場になります。そんな中、どのようにして良好な関係を築き、そして自発的な動きを促していくのか。
これは職場内でも見られる関係性です。上司や先輩といった強い立場の人と、わからないことが多く不安な後輩や新人。強い言葉や態度、相手がわからない専門用語で言いくるめることは簡単です。しかしその先に良好な関係はありません。
後輩や新人が可能性を伸ばし、自発的に動かなければ、組織や企業の発展はありません。今回のユマニチュードから、多くのことを教えられますね。
まとめ:
・自分と相手との関係に注目する
・水平な視線を保つ
・ポジティブな言葉をかける
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
大島寿美子:「絆」を築くケア技法 ユマニチュード 人のケアから関係性のケアへ
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