セルフマネジメント

動機が先か、行動が先か。認知的不協和とジャームズ・ランゲ説

この記事はこんな方におすすめ
・スタッフのやる気を引き出したい!
・明るい職場を作りたい!

読む時間:3分

今回のテーマは動機と行動です。前向きな動機を持つことは、人材育成・社員教育の終わりなき課題のように思います。そのため多くの企業が、特に新入社員に対して、動機を鼓舞するような入社式を行っています。

しかしその一方で、
・スタッフのやる気を感じない。
・仕事に対する熱意を感じない。
・職場の雰囲気が暗い。
といった声をものすごく聞きます。「最近の若い者は…」というあれです。その結果、上司や先輩は口酸っぱく小言を言います。やる気を出そう!お客さんのために親身になろう!やりがいをもって仕事をしよう!

その効果については、皆さんの胸の中にある通りです。

そこで今日は、認知的不協和とジェームズ・ランゲ説をご紹介します。

まずは認知的不協和について。これは、アメリカの社会心理学者レオン・フェスティンガー博士によって提唱されました。例えば、あなたは明日の会議でプレゼンをする予定だとします。今日は家でその準備です。しかし目の前には読みたかったマンガの最新刊があります。この時、「準備をせねば」と「読みたい」の2つが頭の中に現れると同時に、不快感を覚えます。この矛盾から生まれる不快感が認知的不協和です。

その結果、人は強い方を勝たせます。強いというのは、頭の中を占める度合いです。準備せねば!を肯定する理由がたくさんあれば、準備をします。読みたい!を肯定する理由がたくさんあれば、読みます。私はきっと、読みます…

次にジェームズ・ランゲ説。これはアメリカの心理学者ジェームズ博士と、デンマークの心理学者ランゲ博士が1884年と1885年という同時期に提唱しました。これは皆さんご存知の、“笑うから幸せになる”という、行動が感情(情動)に作用するというやつです。専門的には末梢起源説とも呼ばれ、今なお重要視されています。

これらを応用してみましょう。行動を変えれば、信念や動機はあとからついてきます。つまり新人教育などを行う時は、信念や動機の教育も大切ですが、それだけでは不十分。それよりもむしろ行動の教育の方が大切です。そしてその行動を促すのは、ルール、マニュアル、そして風土。

・こういうルールだから
・マニュアルにこう書いているから
・先輩たちもやっているから

たとえ頭の中で面倒だなという感情が出てきても、目の前には行動を促すルールやマニュアル、風土が盛りだくさん。認知的不協和が起こっていますが、圧倒的な情報量で打ち勝ちます。それが信念や動機を生み出します。

私もルールやマニュアル、そして患者様への言葉遣いなどを徹底しました。その結果、新人スタッフにやる気がないと思ったことは一度もありません。むしろ、患者様のために何ができるのか悩み、時には自分の無力感に涙する場面も多く見てきました。

そして2年ほど経つと、職場が求める動機が備わってきます。患者様(お客様)に対する動機、スタッフに対する動機、職場に対する動機。そしてそれらの動機を形にする仕組みづくりを任せます。そうすることにより、新しい感覚を取り入れたより良い仕組みへとゆっくり着実に進化していきます。

行動が先。動機は後でも大丈夫です。

まとめ:
・まずは行動を変える仕組みを作ろう
・動機はあとからついてくることを理解しよう

 

本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
L FESTINGER: Cognitive Dissonance
梅田聡:情動を生み出す「脳・心・身体」のダイナミクス:脳画像研究と神経心理学研究からの統合的理解

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