この記事はこんな方におすすめ
・睡眠の大切さを知りたい!
・睡眠を大切にする組織を作りたい!
・生産性を高めたい!
読む時間:3分
今回のテーマは睡眠の脳科学です。以前も睡眠の重要性についてご紹介しました(こちら)。ぜひ睡眠を職場に取り入れて頂ければと思います!
とはいうものの、
・そもそも寝ている時にどうやって記憶しているの?
・睡眠といっても色々あるけど、どのタイミングで記憶しているの?
ということをスタッフから聞かれるかもしれません。そんな時にサッと答えることができると、睡眠の大切さを今以上に広めることができると思います。
今回は睡眠に関する2017年に報告された、120本の研究論文のレビューから、人を対象とした基礎研究を取り上げます。
まずはウィスコンシン大学とコロンビア大学の共同研究です。11名の睡眠実験群と10名の起きている条件群を対象に、脳波を計測して睡眠中の記憶のメカニズムを解析しました。今回用いた実験は、空間運動学習です。簡単に言うと、目で動いているものを見ながら、手を動かしていくということです。キャッチボールのように、動いているボールを見ながら、体を動かしてキャッチするといった運動です。このような運動には、脳の中では頭頂葉と呼ばれる場所が深くかかわっています。目から入ってくる情報と、体から入ってくる情報を統合する(かけ合わせる)場所です。さらに、この空間運動を複雑にする実験も行い、簡単な実験と複雑な実験との脳波の違いを確認しました。
さてこの実験の結果ですが、まず睡眠群と起きている条件群では、睡眠群の方が空間運動学習の効果が高かった。やはり睡眠が大切なんですね。そして睡眠群の脳内を脳波で測定した結果ですが、脳波が遅くなる深い睡眠の時に、頭頂葉の活動が顕著に認められました。そしてそれは睡眠後30分で最も大きかった。最初の30分で学習しているのかもしれませんね!
次はリューベック大学が2006年にNatureに報告した研究です。この研究も脳波を計測した研究です。結果は先ほどと同じく、脳波が遅くなる深い睡眠の時に学習されていました。さらに、睡眠中に脳に刺激を加えることにより、学習効果が高まる可能性も示しています。ただしその場合は、体を動かす運動記憶ではなく、単語を覚えるなどの宣言的記憶(文字記憶とでも言いましょうか)に限られるようです。今後は、睡眠中に学習を高める音刺激が開発されるかもしれませんね。
さて今回は睡眠の脳科学についてご紹介しました。1つ注意点があります。睡眠後30分で効果が高まるのだから、前回ご紹介したような90分睡眠ではなく、30分で十分なのではないか?と思われるかもしれません。しかし30分睡眠では、深い睡眠にいけないのです。そして深い睡眠の際に目を覚ましてしまうと、そこから頭が使えるようになるまで1時間近くかかってしまいます。だからこそ、60分~90分の睡眠が必要になります。
脳をリフレッシュして集中力を戻したいなら20分ほどのお手頃昼寝。脳に記憶を定着させたいなら90分ほどガッツリ昼寝が良いようですね。
まとめ:
・睡眠後30分で起こる深い睡眠の際に記憶が定着している
・記憶を定着させるなら90分のガッツリ昼寝
・集中力を戻したいなら20分のお手頃昼寝
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
Chen et al: Deciphering Neural Codes of Memory during Sleep.
R Huber et al: Local sleep and learning.
L Marshall et al: Boosting slow oscillations during sleep potentiates memory.
リサーチ協力のWhite.Crowさんのブログもオススメです:
https://academictheories.com/
睡眠の脳科学についてさらに深く知りたい方はこちら:
https://academictheories.com/2020/05/01/sleep-brain/
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