この記事はこんな方におすすめ
・集中力を高めたい!
・確実に作業を終わらせたい!
・生産性を高めたい!
読む時間:3分
今回のテーマは課題の切り替えです。課題を切り替えることで起きるコスト(疲労・努力)を、スイッチングコストと呼びます。立場が上がれば上がる程、課題(やらないといけないこと)が増えていきます。また新人の方々にとっては右も左もわからず、目が回りそうになります。私も課題が山積みになることがありますので、とても気持ちがわかります。
だからこそ、
・何から手をつけて良いかわからない。
・注意散漫になって頭が回らない。
・課題がなかなか進まない。
といった事態が起きてしまいます。
そこで今回は、2019年に報告されたレビュー論文を参考にしながら、課題の切り替えについてご説明します。スイッチングコストとうまく付き合っていきましょう!
まずはNational Institute of Mental Healthによる報告です。A、B、Cという3つの課題を行ってもらいますが、その順番をABB、ABC、ABAといった形で切り替えました。つまりABBは同じ課題の連続、ABCはまったく別の課題、ABAはAの再課題となっています。そこでそれぞれの課題に対する反応速度を測りました。
その結果、ABCといったようにバラバラの課題は、ABAのように再度課題をするよりも反応速度が速かったのです。おそらくABAでは三番目のAに入る時に、最初のAを思い出すために負荷が高くなったのではないかと考察しています。
つまり、できるだけ課題は切り替えない方が良いが、切り替えるなら新しい課題が良いということになります。
次はオックスフォード大学の研究チームによる報告です。こちらは色と図形を組み合わせたストループ課題を使いました。ストループ課題は、課題の切り替えの力をテストする方法としてよく使われます。しかも今回はこのストループ課題にさらに条件を加えて、複雑にしました(詳細は割愛)。
その結果、先ほどの研究と同じく、課題を切り替えると次の課題への反応速度が遅くなりました。またその反応速度は前の課題に影響を受けていました。しかし今回は、近い課題の方が反応速度は速く、まったく異なる課題では反応速度が遅くなっていました。
共通していることは、課題はできるだけ切り替えない方が良いということです。シングルタスクの方が、マルチタスクよりも生産性が高いですね。このようにマルチタスクによって生産性が下がることを、時間汚染と言います。
目の前にある山積みの課題を一気に片付けるためには、一つ一つをきっちりと片付けていきましょう。また課題を切り替える場合は、スイッチングコストを減らすためにも進捗や次の課題などをメモにしておきましょう。ワーキングメモリに頼ると、切り替えに負担がかかります(ワーキングメモリに関する記事はこちら)。切り替えから戻った時にも、スッと作業に入れると思います。
まとめ:
・課題の切り替えはせずに、できるだけ終わらせる。
・切り替える場合は、作業の進捗や次の行動などをメモしておく。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
Worringer et al; Common and distinct neural correlates of dual-tasking and task-switching: a meta-analytic review and a neuro-cognitive processing model of human multitasking. Brain Structure and Function.
J.C Dreher et al: Fractionating the neural substrate of cognitive control process.
Alexandre H et al: Two Mechanisms for Task Switching in the Prefrontal Cortex.
リサーチ協力のWhite.Crowさんのブログもオススメです:
https://academictheories.com/
課題の切り替えについてもっと詳しく知りたい方はこちら:
https://academictheories.com/2020/05/10/task-switching/
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