セルフマネジメント

新しい習慣を自然と職場に定着させる方法。生命維持機能と情動に目を向ける。

この記事はこんな方におすすめ
・職場に新しい習慣を定着させたい!
・変化に対応できる組織を作りたい!
・職場の雰囲気を変えたい!

読む時間:4分

結論:気付かれないような小さな変化から始める。

今回のテーマは習慣の定着です。今のままで良いと考えている人は少ないはずです。また新型コロナウイルス感染拡大のような事態は今後も起こるため、変化に対応できる柔軟な組織を作っておきたいですね。

ですがやはり、
・続かない(3日坊主)
・新しい試みは反発される
・定着したことがない
ということを誰もが経験します。その結果、諦めていませんでしょうか?まだ大丈夫です。

今回は人の生命維持機能情動を解説します。生命維持機能とは、気温が上がったら体温を上げ過ぎないように汗をかいて冷やす、体の酸素が足りなくなったら呼吸の数を増やして酸素を取り込むといった、命を維持する機能です。これを、ホメオスタシスといいます。心理学的にはアロスタシスと言います。日本語では恒常性と言い、常にいつもの状態に戻ろうとする機能を意味しています。

これは体温や呼吸、循環(心臓と血管の動き)といった体の反応だけではありません。私たちの頭の中でも同じです。脳はいつもと同じ(楽な方)を選択します。大きな変化がある時、私たちの脳の中では何が起こっているのでしょうか。

次のキーワードは情動です。情動とは、喜怒哀楽という感情と理解して頂ければ十分です。自分が望む方向と一致した変化であれば、喜びが大きくなります。このような変化は大歓迎ですね。しかし脳は不思議なもので、このような変化に対しても、実は反発するのです。

脳に変化が訪れた時、辺縁系という情動を司る場所が反応します。どのような感情が芽生えるかというと、恐怖や不安です。変化によって恐怖や不安が生まれると、そこから逃げる必要がありますので、現状に戻そうとするのです。これがアロスタシスです。

つまりあなたが職場に新しい変化を入れると、スタッフは頭の中で恐怖や不安を感じているのです。そして、このままが良い、昨日と同じ今日が良い、今日と同じ明日が良いと、反発をしてしまうのです。ここを責めても仕方ありません。これは生物としての本能のようなものですので、どうしようもありません。だからこそ、そのような本能と戦ってもうまくいかないのです。

解決策は、変化に気付かれないことです。そんな馬鹿な、と思いますか?変化を事前に伝えておく、変化をむしろ主導してもらう、変化を少しずつ取り入れる。これらの方法は、リーダーシップや権限移譲(エンパワーメント)、人材育成の基本とされています。相手の辺縁系(情動)に配慮しているのです。

例えば、職場にマニュアルを導入するとします。いきなりマニュアルを導入すると反発されます。まずは自分がマニュアルを使います。そして近い人にも使ってもらいます。さらに会議などの場で、「今後はマニュアルなどによってサービスを統一する必要があるな」といった発言をして匂わせます。さらに反発しそうな人たちとのコミュニケーションを増やし、マニュアルという言葉を会話に織り交ぜていきます。すると、いつの間にかマニュアルを使うという習慣が職場に定着しています。

この手順を面倒に感じるかもしれませんが、相手の不安や恐怖に配慮しないということは、ちょっとどうかと思いますよね。確かに一気にマニュアルを導入し、否が応でも使わざるを得ない環境にすることもできます。これでも新しい習慣は定着します。しかし反発は必須です。最悪の場合、優秀な人材が出ていくことも考えないといけません。せめてこの方法を使う場合は、不安や恐怖の逃げ道を作ってください。マニュアルは導入するけど、ボーナスを0.5倍増しにする、サービス残業を撤廃する、業務負担を減らすといったカウンターを作ります。

キーワードは、辺縁系にバレない小さな変化から始めることです。

まとめ:
・人はいつもの習慣に戻ろうとする。
・それは本能に基づいているので仕方ない。
・小さな変化を根気よく続ける。

本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
・Rieve C: The Biological Measurements of Mindfulness-based Stress Reduction: A Systematic Review. Explore. 15: 295-307. 2019
・梅田聡: 情動を生み出す「脳・心・身体」のダイナミクス: 脳画像研究と神経心理学研究からの統合的理解. 36: 265-270. 2016

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