この記事はこんな方におすすめ
・経営方針を定めたい!
・世の中の流れを理解したい!
・ニーズに合った組織づくりをしたい!
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結論:日本の高齢化の速度は、欧州や米国と比較して2倍以上の速さで進んでいるため、対応が追い付かない。
今回のテーマは高齢化です。何をいまさらと言われそうです。少子高齢化、高齢化率世界一、などの言葉を聞き飽きるぐらい聞いています。
・世界一の高齢化率だから何?
・これからも伸び続けるんでしょ?
・大変なのはわかっているよ。
という声が聞こえてきます。もちろんその認識で間違っていません。しかし、実はそれだけでは不十分です。日本が直面している高齢化の問題は、別のところにあります。紐解いていきましょう。
まずは高齢者とは誰か?からです。高齢者とは、65歳以上の方々を指します。そしてこの高齢者を65歳から74歳の前期高齢者、75歳以上の後期高齢者の2つに分けます。この2つに分ける理由は、75歳を境に病院にかかる量が増えるからです。そのため医療保険の仕組み(制度)を、前期高齢者と後期高齢者で分けているのです。ちなみに前期高齢者は医療保険(国民健康保険)、後期高齢者は後期高齢者医療制度です。
では話を高齢化に戻します。この65歳以上の方々が、総人口の内どのくらいいらっしゃるのかをパーセントで表したものが高齢化率です。日本の高齢化率は、2019年の時点で28.4%です。21%以上ですので、超高齢社会です。これはもちろん世界一です。
だからそれはわかっているよ!少子化で人が増えないんでしょ?労働者が足りないんでしょ?
そもそも論で考えてみましょう。世界の高齢化率は、1950年の5.1%から、2015年には8.1%へと増加しています。先進国だけでみると、1950年の7.7%から、2015年には17.6%に増加しています。ここからわかるように、世界的に高齢化が進んでいるのです。ちなみに2015年時点の各国の高齢化率は、日本26.6%、ドイツ21.1%、スウェーデン19.6%、フランス18.9%、英国18.1%、米国14.6%、韓国13.0%、シンガポール11.7%、タイ10.6%、中国9.7%です。欧州もなかなか高齢化しています。ではなぜ日本の高齢化がこんなにも注目されているのでしょうか。
その要因は、高齢化率の高さもありますが、もう一つは高齢化の速さです。社会保障・人口問題研究所は、主要国における高齢化率が7%(高齢化社会)から14%(高齢社会)へと進む速さを比べました。その報告によると、フランス115年、スウェーデン85年、米国72年、英国46年、ドイツ40年、そして日本はなんと24年。日本は2倍以上の速さで高齢化が進んでいるのです。
欧州や米国は長い時間をかけて高齢化と向き合ってきました。だから参考になるのです。その反面、参考にならないこともあります。それは、この速さと向き合った国が過去にないということです。だから日本は、世界初の急激な高齢化に対応しています。ここに日本の高齢化が注目される理由があります。制度や国民の認識が追い付かない。そんな中でどうやって対応するのか。これからますます急激な変化を求められます。ご覚悟を!
さらに興味深いことは、中国24年、シンガポール20年、韓国18年とアジア諸国は日本に劣らず、むしろそれよりもさらに速いペースで高齢化が進んでいます。だからこそ、日本の高齢化への対応が参考になるわけです。うまく乗り越えることができると、日本の“強み”に転化することができますね!
まとめ:
・日本の高齢化の速度は欧州や米国の2倍以上。
・だから制度や国民の認識が追い付かない。
・アジア諸国は日本よりもさらに速いペースで高齢化が進んでいる。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
・総務省統計局:人口推計-2020年(令和2年)1月報-
・内閣府:令和元年度版高齢社会白書
・国立社会保障・人口問題研究所:人口統計資料集2020年度版.
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