この記事はこんな方におすすめ
・職場に組織の方針を定着させたい!
・スタッフの力を集約させたい!
・組織と個人の方向性を一致させたい!
読む時間:4分
結論:単なる繰り返しではなく、入れ替えや穴埋めを使うと記憶に残りやすい。
今回のテーマは長期記憶です。記憶に関する情報は、自分の資格取得や語学学習などに応用されています。しかし、長期記憶は組織を運営する上でも重要です。なぜなら、スタッフは、組織の方針に基づいて様々な決定を行うからです。この決定には、部署の方針に関するものから、目の前のサービスについてまで、多岐に渡ります。
だからこそスタッフの記憶に組織の方針が入っていなければ、
・いつも決定をチェックしないといけない。
・組織の方針に沿ったアイデアが出てこない。
・組織内がバラバラに感じる。
という悩みが出てきます。現にそのような組織は多いのです。これではスタッフの力を集中することができませんので、優れたサービスや商品を作り出すことは難しい。そしてそのような組織の中にいるスタッフも、「どうしたら良いかわからない」、「どこに向かっているのかわからない」という気持ちになり、意欲が落ちてしまいます。
そこで今回は、長期記憶に関するレビュー論文を参考にしながら、2つの研究をご紹介します。
まずは、脳内での入れ替えと記憶に関する研究です。カルフォルニア大学で行われた研究で、ワーキングメモリの課題にて長期記憶を促せるかどうか検証しました(ワーキングメモリに関する記事はこちら)。3つの単語を単純に繰り返して覚える群と、3つの単語をあるルールに沿って入れ替えながら覚える群とで比較をしています。その結果、単純な繰り返しよりも、入れ替えを行った方が、3倍以上記憶が定着しました。
単に記憶するよりも、頭の中で動かす方が残るのですね。例えばAとBとCという課題があるとします。単純にAとBとCと覚えるのではなく、Aを最初にやる理由は…。そう考えるとBを最初にやった方が良いのでは?Cは最後のままで良いな。という感じに頭の中で動かすと良いですね。
これはいわゆる、暗記ではなく理解と言われるものだと思います。頭の中で動かすということは、理解することに近いですね。この研究でも明らかになっていますが、脳の中で動かす場合は前頭葉の活動が強くなります。そのため疲れることは間違いありませんが、楽しんでやってみてください。
次の研究は、穴埋めです。カリフォルニア大学とボストン大学とケンブリッジ大学とアグリア・ラスキン大学が共同で検証しました。この研究では、単純に繰り返して記憶する群と、穴埋めテストをしながら記憶する群とを比較しました。その結果、ご想像通り、穴埋めテストの方が記憶の定着が高かった。しかも穴埋めテストは、1回だけよりも繰り返し実施した方が記憶の定着に有利だということもわかりました。
これらを組織運営に応用すると、アイデアを出すような場では、理念は?前提条件は?ゴールは?というような問いかけが重要になると思います。これらの問いかけによってスタッフは、「そうかそうか、今回の前提は○○だったな。そうすると、、、」と頭の中で入れ替えが行われます。また、「前提条件は3つだったけど、あと1つは何だったかな。」というように、穴埋めもその結果、組織の方針がスタッフの頭の中に定着していきます。
まとめ:
・単純に繰り返して記憶するのではなく、頭の中で記憶を動かす。
・穴埋めも記憶の定着に有効。
・スタッフに組織の方針を問いかけ、頭の中での入れ替えや穴埋めを促す。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
・Dudai Y et al: The Consolidation and Transformation of Memory. Neuron. 2015 Oct 7;88(1):20-32
・Blumenfeld RS et al: Dorsolateral prefrontal cortex promotes long-term memory formation through its role in working memory organization. J Neurosci. 2006 Jan 18;26(3):916-25.
・Jonker TR et al: Neural reactivation in parietal cortex enhances memory for episodically linked information. Proc Natl Acad Sci USA. 2018 Oct 23;115(43):11084-11089
・メンタリストDaigo:知識を操る超読書術
リサーチ協力のWhite.Crowさんのブログもオススメです:
https://academictheories.com/
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