この記事はこんな方におすすめ
・合理的な意思決定ができるようになりたい!
・感情と意思決定の関係を知りたい!
・感情と合理性のバランスが取れた組織を作りたい!
読む時間:3分
結論:ポジティブな感情は合理的な判断を促し、怒りなどのネガティブな感情は判断にネガティブな影響を与える。
今回のテーマは意思決定と感情の関係です。人間は感情の動物ですので、感情を切り離すことはできません。
だからこそ、
・ついつい怒りに任せて他人にあたってしまう。
・投げやりな決断をしてしまう。
・意思決定の後に後悔してしまう。
という悩みを持たれる方は多いと思います。特に現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、社会情勢が大きく動いています。そのような感情が大きく動く中、大切な意思決定をしなければならない場面も多いはず。今回の記事を参考に、合理的な意思決定を行い、組織をより良い方向へと導いてください。
まずはフランスで行われた研究から。人は「○○を得る」よりも、「○○を失う」という状況の方が、損失覚悟のギャンブルに出る傾向がわかっています。これは、損失回避やフレーミング効果と呼ばれます。このような傾向が、感情によってどの程度影響を受けるのかについて実験しました。
実験は、ポジティブ群、ネガティブ群、コントロール群の3群に分けて、それぞれの感情を喚起する写真を見せました。その後、手元にあるお金に対して、得るか失うかというフレーミング効果を誘発しました。その後、得ると表現されるとギャンブルをせず、失うと表現されるとギャンブルをしてしまうという効果について、3群で比較しました。
その結果、コントロール群とネガティブ群では損失に対して有意にギャンブルをしていました。フレーミング効果が出たということですね。しかし興味深いことは、ポジティブ群ではフレーミング効果が出ませんでした。つまり、損失の場面でもギャンブルに出なかったのです。
ポジティブな感情は、言い方に惑わされない合理的な判断を促すようです。
次の研究は、怒りと意思決定について。怒っている時とリラックスしている時では、意思決定に違いがあるのでしょうか。ありそうなのはわかりますね。ではどのような違いがあるのでしょうか。今回の研究では、単語かそうでないかという視覚的な見極めが課題となりました。
その結果、怒っている時は反応時間が遅くなりました。また機能的MRIで脳内の活動を見ると、リラックス群と比較して、怒り群は視覚野の活動が下がっていました。視覚に関する領域の働きが落ちているので、視覚的な課題に対する判断は鈍りますよね。
頭に血が上ると大脳皮質の活動が落ちるのですね。怒ると扁桃体などの辺縁系が活発になりますので、大脳皮質の働きは抑制されます。神経生理学の通りの結果ですね。
これら2つの研究から、当然ながら感情が意思決定に影響を与えていることがわかりました。そして、ポジティブな感情が大切になるようですね。ポジティブというのは、実は自然体です。意識的にポジティブにしようとすると、逆に焦りや不安の感情が出てきます。無理をすればそうなるのは当然です。
だからこそ、日頃からしっかりと寝て、日光を浴び、運動して、好きなことを楽しみ、前向きな言葉に触れるようにすることが、合理的な意思決定にも良いようです。
そして意思決定の場面では、自分の感情がどういう状況かを確認した方が良いですね。感情がわかりにくければ、直近の出来事を思い出して、自分にとってポジティブかどうかを判断すると良いようです。
まとめ:
・ポジティブな感情はフレーミング効果を無効にする。
・怒りの感情は判断を遅らせる。
・意思決定の前に自分の感情を意識する。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
・Cassotti M et al: Positive Emotional Context Eliminates the Framing Effect in Decision-Making. Emotion. 2012 Oct;12(5):926-31
・Garfinkel SN et al: Anger in brain and body: the neural and physiological perturbation of decision-making by emotion. Soc Cogn Affect Neurosci. 2016 Jan;11(1):150-8.
・ダン・アリエリー:お金と感情と意思決定の白熱教室:楽しい行動経済学
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