この記事はこんな方におすすめ
・セクハラのない働きやすい職場を作りたい!
・自分がセクハラしないようにしたい!
・セクハラをする人を見抜きたい!
読む時間:5分
結論:自分の性に自信があり、性別役割に敏感な人ほどセクハラをする。
今回のテーマはセクシャルハラスメント(セクハラ)です。○○ハラスメントの中で、最初に挙げられるものですね。私の性別は男で、性的志向は異性(女性)です。そのためセクハラは、いつも頭の片隅にあります。
性の問題は複雑です。今回は男性が女性に行うセクハラについて取り上げます。他にも、男性が男性に行う、女性が男性に行う、女性が女性に行うこともあり得ます。ただ、男性が女性に行う割合が圧倒的に多いために、セクハラは男性が女性にするものだという印象があります。この点には注意が必要です。これが当然視されると、本当はセクハラをする気がない、またはしたくない男性を女性が攻撃することがあるかもしれません。
やはり最終的には全体的な特徴を理解しつつ、目の前にいる個人に合わせてコミュニケーションを取ることになりますね。これはもちろん、当たり前のことです。決めつけず、思い込まず。と、自分にも強く言い聞かせております。
長くなりましたが、この前提を踏まえた上で、研究をご紹介します。
まずは悩みの共有から。
・自分がセクハラをするかもしれない。
・セクハラをされて嫌だ。
・セクハラが無くならない。
このような悩みを持たれている方は、まだまだ多いと思います。随分と減りましたが、まだまだ多い。なぜずいぶん減ったのか、どんな人がよくやっているのか。これらについてまとめます。
今回は2017年にテキサス大学の研究者が報告したレビュー論文を参考にします。そのタイトルは、“セクシャルハラスメント:私たちは進歩したのか?”です。なかなか啓発的なタイトルです。
この論文に取り上げられた研究をご紹介します。イタリアで2番目に歴史のあるパドヴァ大学で行われた研究です。実験の内容が結構複雑ですので、ざっくり説明します。
男性80名を対象に、自分の性に対する誇りと男性優勢思想を測るアンケートを行います。その後、女性とチャットをします。女性には「視覚の記憶に関する研究」と伝えられています。そして男性と女性が1対1でチャットをします。お互い仮の名前で。実はもう一人、セクハラを促す男性が用意されており、この人がわざと性的な画像を女性に送ります。そこで、実験参加者である男性がこれに乗って手元にある性的な画像を送るかどうかを把握します。
このような手続きによって、セクハラ指数を測りました。実験後に、セクハラをする意志(性的に女性を利用する傾向)を測るアンケートに答えます。
その結果、男性という性に誇りを持ち、男性を優勢とする思想(性別役割)が強い人ほど、性的な画像を多く送っていました。また相手の女性がフェミニスト(男女平等という思想)と聞かされた場合は、その傾向が強くなりました。
つまり、性別役割が強く、かつその考え方が脅かされる時に、セクハラが起こりやすいということですね。
私の経験としても、当てはまります。決して自分を棚上げするわけではありませんが、セクハラで問題になった方々は、上から目線の俺様が多いように思いますね。これも時代でしょう。性別役割は時代とともに薄れていると思います。啓蒙の効果ももちろんありますが、セクハラが減った理由の一つでしょうね。
私が敬愛するウォーレン・バフェット氏は、黒人の差別もあるが、女性への差別もあると言っています。公民権運動の時代に女性にも目を向けた稀有な方です。さらに、女性の力を使っていないということは、人類の半分の力しか使っていないことだとも言っています。おっしゃる通りですね。なんてもったいないことでしょう。パワハラとも共通すると思いますが、自分が上に立っていて何でもできる、そしてその立場を守りたい、といった万能感や自己防衛がセクハラという安易な行動に繋がるのかもしれません。
まとめ:
・自らの性に自信がある人がセクハラをしやすい。
・性別役割を強く持つ人はセクハラをしやすい。
・性的な自尊心が傷つけられる場合に、セクハラをしやすい。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
・ジョングレイ:ベストパートナーになるために:男は火星から、女は金星からやってきた
・Quick & McFadyen: Sexual Harassment: Have We Made Any Progress? Journal of Occupational Health Psychology, 22(3), 286-298. 2017
・Maass A et al: Sexual Harassment Under Social Identity Threat: The Computer Harassment Paradigm. J Pers Soc Psychol. 2003 Nov;85(5):853-70
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