この記事はこんな方におすすめ
・成果につながる決断ができるようになりたい!
・ずるずる引っ張られる現状を変えたい!
読む時間:3分
今回のテーマは決断です。立場が上がれば上げるほど、決断を迫られる場面が増えます。だからこそ、決断するという責任をしっかりと果たしていきたいですね!
しかしその一方で、
・ずっとこの方法を取っている。
・いつかきっと報われる。
・だけど本当は無駄だと思っている。
会社の中にはそのような仕組みがたくさんありますよね。そして自分がこれまで作ってきた仕組みは、やはり今でも使いたいものです。しかし作った時とは状況が変わっているかもしれません。また作る前にすべて正しく予想できるわけでもありません。
そんな時に役に立つのがゼロベース思考です。ゼロベース思考とはその名の通り、ゼロをベースにして考えることです。一旦白紙にすること。
これにものすごい力があるのです。
ではまず、人はなぜ過去のやり方を続けてしまうのかみてみましょう。
ノーベル経済学賞を受賞されたダニエル・カーネマン氏はこれを現状維持バイアスとして紹介しています。現状を維持する理由は、損をしたくないという思いが強くあるからです。これを損失回避と呼びます。
カーネマン氏らは実験の対象となった学生の半数にマグカップを渡しました。このマグカップの価格は4.5ドル(500円くらい)です。そしてもう半分の学生には6ドルを渡し、マグカップと交換するように指示しました。マグカップを持っている学生は、5ドルを超えないと交換しませんでした。またお金だけを持っている学生は、2.5ドル程度でないとマグカップを買いませんでした。つまりどちらの学生も、今自分が持っているものを高く見積もっているということになります。
だからこそ、今持っているものを失うことは“損”になると感じてしまうのです。そしてこの損を回避することが損失回避であり、だから現状を維持しようという現状維持バイアスが働くのです。
未来の損はわからない。だけど今のやり方を変えると、これまでの計算から大きく外れる。それは“今”損することになる。だからこのままでいいじゃないか。となってしまうのですね。
新しい仕組みを入れたいけど、抵抗勢力が強くてなかなか導入できない。
多くの方が経験していることです。でもそれは当たり前のことですので、そんな考えになってしまうことを一度理解してあげましょう。今までかけてきたコスト(埋没コスト・サンクコスト)を具体的にしましょう。
そしてゼロベース思考を用いてその現状を打破しましょう。ゼロベース思考とは、一旦白紙で考えることです。先ほどの学生であれば、手元にマグカップがない場合、そのマグカップをいくらで売りますか?ということです。
・今の仕組みがない場合、どんな仕組みにするだろう。
・そもそも何のためにこの仕組みがあるのだろう。
・誰のためにこの仕組みがあるのだろう。
これらを問うてみてください。きっと別の答えが出てくると思います。もしそれでも今の方法になるのであれば、それは良い方法なのかもしれませんね。
そして新しいやり方を導入する場合は、きちんとその価値を伝えましょう。現状を変えることはすべて損という印象になっています。だからこそ、得(メリット)をきちんと伝えましょう。そうすれば周りの協力を頂き、より良い方法を導入することができます。
私もいつもつぶやいています。「何のため」「誰のため」。
まとめ:
・現状を維持するのは当たり前である。
・一旦何もないものとして、ゼロベースで思考する。
・現状を変えることは損ではないことを示す。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
D Kahneman et al: The Endowment Effect, Loss Aversion, and Status Quo Bias
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