この記事はこんな方におすすめ
・スタッフのモチベーションを高めたい!
・離職率を下げたい!
・科学的な働き方改革をしたい!
読む時間:4分
結論:仕事自体にのめり込むという内発的動機付けにより、パフォーマンスが上がり、離職率も下がることが科学的(疫学的)に証明されている。
今回のテーマは内発的動機付けです。内発的動機付けとは、自分の内側から込み上がって来るモチベーションです。内発的動機付けの反対は、外発的動機付け。内側の反対ですので、自分の外側から来るモチベーションです。多くは、お金などの報酬が使われます。いわゆる、馬ニンジン作戦です。内発的と外発的のどちらがモチベーションを高めるのかという議論は、ここ10年ほど熱い話題となっています。もちろん内発的な動機付けの方が、誠実に見えますので支持したい人も多いと思います。
ところが、
・本当に内発的動機付けに効果があるのか?
・どのくらい効果があるのか?
・そもそも内発的動機付けはどうやったら良いのか?
とも思いませんか?私は思います。
そこで今回は、2017年に報告されたレビューを基に、内発的動機付けの科学的な根拠をご紹介します。
まずは、ノルウェーで行われ研究です。3つの調査が行われ、計6,068名を対象としています。中身は、内発的・外発的動機付けの指標、仕事のパフォーマンス、会社への責任、バーンアウト、仕事と家庭との葛藤度、離職の意思について5段階で答えてもらいました。
その結果、以下の6つが明らかになりました。
①内発的動機づけが高くなると仕事のパフォーマンスも向上する。
②一方、外発的動機づけが高くなると仕事のパフォーマンスは下がる。
③内発的動機づけが高くなると、離職意志は低く、バーンアウトはしにくく、仕事と家庭の葛藤は少なくなる傾向がある。
④一方、外発的動機づけが高くなると、離職意志は高まり、バーンアウトもしやすく、仕事と家庭との葛藤も抱きやすい。
⑤内発的動機づけが高くなると、感情的責任は高くなるが、継続的な責任は低くなる。
⑥一方、外発的動機づけが高くなると、感情的責任は低くなるが、継続的な責任は高くなる。
全体的に、内発的な動機付けの効果が高いことが示されましたね。内発的な動機付けのポイントは、仕事に没頭できる環境、仕事の価値を見出す工夫になりそうです。
次は、イタリアにあるシエナ大学の研究。この研究は、上司のサポートが仕事の満足度等に影響を及ぼす効果について調査しています。
その結果、上司から仕事のサポートを受けていると感じる度合いが高いほど、仕事の満足度、感情的な責任、継続的な責任のそれぞれが高く、離職意志が低いことがわかりました。
内発的動機付けとして、上司からのサポートがやはり必要のようです。しかも大切なことは、スタッフがそれを実感していることです。いくら上司がサポートしているつもりになっていたとしても、スタッフがそれを感じていなければ意味がありません。やはり、コミュニケーションですね。
私が上司という立場に立った場合は、仕事の目的(ゴール)や定義(ルール)を伝えた上で、任せます。ただし、責任はこちらが取ります。幸いこの方法により、25%あった離職率が8%ほどに下がりました。また、スタッフが業務改善に主体的に取り組んでくれることも実感しています。
内発的動機付けに火をつけることが、真の働き方改革だと思います。ぜひ、取り入れてみてください。
まとめ:
・内発的動機付けは、外発的動機付けと比較して、仕事のパフォーマンスを高める。
・そして離職意思を下げる。
・上司からのサポートも同様の結果を示す。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
・Deci et al: Self-Determination Theory in Work Organizations: The State of a Science. Annual Reviews of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 4, 19-43.2017
・Kuvaas B et al: Do intrinsic and extrinsic motivation relate differently to employee outcome? Journal of Economic Psychology. 61,244-258. 2017
・M Pepe: The Impact Of Extrinsic Motivational Dissatisfiers On Employee Level Of Job Satisfaction And Commitment Resulting In The Intent To Turnover. Journal of Business & Economics Research. 8. 99-108, 2010
リサーチ協力のWhite.Crowさんのブログもオススメです:
参考図書:
ダニエルピンク:モチベーション3.0
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