この記事はこんな方におすすめ
・自分たちの活動の意味を知りたい!
・ヘルスケアサービスの質を高めたい!
・組織の一体感を高めたい!
読む時間:3分
結論:早すぎる死と障がいの予防、QOL(生活の質、人生の質)の維持と改善、成長と発達の最大化、良い死に向けた準備がヘルスケアのゴールである。
今回のテーマはヘルスケアのゴールです。なんとなくは頭にはありますが、いざ「ゴールは?」「目的は?」「何のために?」と聞かれると、言葉にするのが難しいと思います。
・目の前の問題が大事でしょ。
・いやいやゴールでしょ。
・こんな感じで、目指すものがスタッフによってバラバラ。
という悩みが、管理する上で起こります。もしかすると、もう諦めているかもしれません。「色んな考え方があるよねー。」「ウチは自由な発想を大事にしているので!」という決まり文句で。
組織は何のためにあるのかというと、共通の目的を達成するためです。組織のために組織があるのではありません。「何を達成したいのか?」によって、組織の形は様変わりします。というよりも、様変わりしなければなりません。だからこそ、自分たちが提供するヘルスケアサービスの目的が決められていなければ、その組織は何のために存在しているのですか?という言葉を投げかけなければいけなくなります。
さらに問題を解決するためには、理想(ゴール)の設定が不可欠となります。問題とは、理想と現状のギャップ(引き算)ですので、理想(ゴール)がなければ、そもそも問題すら存在しません。だからこそ、ゴールを知ることが重要になるのです。
では本題です。2017年のReview論文が大変良くまとめられていましたのでご紹介します。この論文は、これまでのヘルスケアのあり方を変えていく必要があるという論旨で書かれています。そしてこれまでの問題志向型(Problem-oriented)から、ゴール志向型(Goal-directed)に変化していく必要があると述べています。
さて、ここではヘルスケアのゴールを4つ掲げています。
・早すぎる死と障がいの予防。
・QOL(生活の質、人生の質)の維持と改善。
・成長と発達の最大化。
・良い死に向けた準備。
いずれもその通りですね。異論はありません。当たり前に聞こえるかもしれませんが、この4つをすべて挙げることができる人はそういません。これらを共有している組織はさらに少ないと思います。
目の前の対象者の問題を解決しようとする前に、まずはゴールを立てる。高血圧の方が、血圧を下げることはゴールでしょうか。“血圧が高い”という問題だけを取り上げているように思います。本当のゴールは、高血圧によって起こる心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)を回避して、早すぎる死と障がいを予防し、QOL(生活の質、人生の質)を維持することではないでしょうか。
ここまでを患者さんと共有できると、よし!血圧を下げよう!となり、アドヒアランス(ルールを守る)が高まることは間違いありません。これらはスタッフ教育でも同じです。組織運営でも同じです。
私の経験としても、問題ばかりを扱うよりも、まずはゴールを設定することによって治療効果も、組織の動きも良くなります。
良い死に向けた準備はこれからの時代、最も大切なゴールとなります。目をそらさずに、向き合いましょう。
まとめ:
・ヘルスケアのゴールは、早すぎる死と障がいの予防、QOL(生活の質、人生の質)の維持と改善、成長と発達の最大化、良い死に向けた準備の4つ。
・ゴールがなければ、問題は存在しない。
・良い死に向けた準備が、これから求められる。
本内容は、参考資料を元に考察したものです。そのためあくまで一説であり、真偽を確定するものではありません。
・Mold JE: Goal-Directed Health Care: Redefining Health and Health Care in the Era of Value-Based Care. Cureus. 2017 Feb; 9(2): e1043
・大島寿美子:「絆」を築くケア技法 ユマニチュード: 人のケアから関係性のケアへ
この記事へのコメントはありません。